今回はウルヴァリンの定番ワークブーツである1000マイルブーツとクロムエクセルレザーの魅力について語っていきたいと思います。
ウルヴァリンとその定番ワークブーツである1000マイルブーツについて
引用;http://www.wolverine-boots.jp/our_story/history.html
ウルヴァリンは130年以上に渡り愛される、アメリカの老舗ワークブーツメーカーです。
今回ご紹介する1000マイルブーツは、「1000マイル(約1600km)歩いても壊れない」と称される程の耐久性と履き心地を持つ、同社の大定番モデルです。
1000マイルブーツの誕生は1914年と非常に古く、当時のワーカーからも「ソールとアッパーは鋼のように堅く、履き心地はシルクのように柔らかい」と称賛を受ける程の人気でした。
デザイン的には、プレーントゥのブーツですが、ワークブーツらしい無骨さの中にも上品さを感じるデザインです。
ドレスシューズとワークブーツが完全に分岐する前の時代に、作られたというのが大きいと思います。
また、ワークブーツとして履かれていた時代には鹿革やシボ革をはじめとして、様々なバリエーションがあったようです。
現在では、アメリカのホーウィン社のクロムエクセルレザーをアッパーに用いたモデルが中心となっています。
ホーウィン社のクロムエクセルレザーとは
クロムエクセルレザーとは
ホーウィン社はアメリカを代表するタンナーであり、「革のダイアモンド」と呼ばれるシェルコードバンを製造することで有名です。
クロムエクセルレザーは同社のもう一つの看板製品であり、独自の製法で鞣されたオイルドレザーの一種です。
クロムエクセルの歴史は約100年に及び、その独特の特性から長きに渡り愛され続けています。
クロムエクセルは耐久性や効率の良いクロム鞣しと、革そのものの魅力を味わえるタンニン鞣しを併せた混合鞣しという手法で鞣されています。
そして、鞣された革にホーウィン社独自のレシピで作られたオイルを、じっくりと染み込ませる事で完成します。
そのオイルは、牛脂、蜜蝋、植物性油脂、魚脂など様々な油脂により構成されています。
このような天然成分からなる油脂は、通常用いられる石油系油脂に比べると浸透性が悪いため生産効率は落ちます。
しかし、このようなオイルをゆっくりと革に染み込ませることで、独特な風合いを手に入れています。
クロムエクセルレザーの特徴について
クロムエクセルの特徴としては、まずはそのオイルの含有量からくる柔らかさがあると思います。
実際に革の裏から表面へ向けて、革を押すと白くなるほどに伸びます。
(含まれるオイル量が多いからか、この白くなった部分も時間が経つと戻ります。)
この弾力性は革の温度で大きく変化し、実際に靴を履くことでより独特な感覚を楽しむことが出来ます。
一方で、柔らかさから非常に傷が付きやすいという特徴も合わせて持っていますが、裏を返せばエイジングを楽しみやすいというメリットにもなっています。
(軽い傷に関しては軽くブラッシングをするだけで、表面が馴染み目立たなります。)
さらに、丘染めと呼ばれる手法で革表面のみを染色しているため、傷が付くと革内部の色(茶芯)が出てくるという楽しみもあります。
また、クロムエクセルは最古の防水レザーと称されることもあり、定期的に手入れを行なっていれば、雨等で濡れても染みになることはありません。
これらからもわかるように、クロムエクセルレザーは独特な履き心地に加え、エイジングが楽しめる防水レザーという点で唯一無二の存在となっています。
私の所有する1000マイルブーツのエイジング
基本情報
Brand:Wolverine
Model:1000 mile boots
Size:US8.0D
クロムエクセルのアッパーに、レザーソールという仕様です。
レザーソールはオイルが染み込ませてある特殊なものであり、滑りにくい上に非常に返りがよく1000マイルブーツの名に恥じない素晴らしいものでした。
現在ではかなり減ってきたので、ビブラムのラバーを貼っています。
(オイルが入っているレザーソールのため剥がれてくることもありました。)
靴ひもは蝋引きされており、全体に程よい落ち着きを与えてくれていると思います。
また、このモデルはネットで並行輸入品を購入しています。
並行輸入品であればクロムエクセルを用いた靴としては、破格の3万円を切ることもありますが正直なところ運の要素が大きくなるとも思います。
やはり、よくも悪くもアメリカ製なので、品質の幅がかなりあります。笑
私のブーツでは、閂止めのスティッチが最初からほつれており、すぐに取れてしまいました。
こういった問題を気にする方は、正規代理店の検品を通過したものを購入することをお勧めします。
サイズ感(サイズ選び)について
サイズはUS8.0、ワイズDで非常に快適な履き心地を得られています。
恐らくクロムエクセルの弾力性によるものなのか、所有する中でも屈指の履き心地です。
また、幅に関してはもしかしたら狭いのかも(他ブランドでは、US8.0でワイズEがジャスト)しれませんが、その弾力性によって程よいフィット感に感じています。
クロムエクセルレザーの手入れについて
また、お手入れについてはオイルアップの必要は一切なく、通常の紳士靴の手入れを行えば十分に状態を保つことができます。
(紳士靴の手入れ方法についてはこちらに詳しく記載しています⇒革靴の磨き方【基本編】)
クロムエクセルは元々オイルの含有量が多いので、ミンクオイルなどによるオイルアップは型崩れの原因となる可能性があるためお勧めしません。
クロムエクセルのエイジングについて
この靴は三年ほど愛用しており、雨の日や旅行などハードな条件で履き慣らしてきました。
そのため、傷やシワ等はかなり強く入っていると思いますが、オイルによるムラ感など非常に良い風合いになってきていると思います。
また、その防水性は驚くべきものであり、ゴアテックスを用いたダナーライトとほぼ同等に使える程です。
(流石に蒸れの面ではゴアテックスには勝てませんが…。)
最後に
クロムエクセルを採用した定番ブーツとしての紹介となってしましましたが、1000マイルブーツ自体も非常にすばらしい靴です。
似た仕様であるホワイツのセミドレスやレッドウイングのベックマンと比較されることもありますが、1000マイルブーツはタフさの中に軽快さがあり、そこがこの靴の魅力となっていると思います。
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