今回はレッドウイングのアイリッシュセッターをはじめとする、オイルドレザーを用いたワークブーツの手入れについてお話していきたいと思います。
ワークブーツの2種類の手入れ方法について
前回の記事でも書きましたが、私はアイリッシュセッター(ワークブーツ)の手入れを2つの方法で行なっています。
ミンクオイルを代表とするオイルはブーツに浸透させることで、柔軟性や防水力の向上、保湿などが見込めます。
また、オイルが酸化することで黒ずんだ、いい風合いのエイジングをします。
しかし、一方でオイルは汚れを靴表面に付着させたり、カビが生える原因となるなどデメリットもあります。
さらには、頻度や量を間違えると型崩れの恐れもあるなど、日常的に行うにはリスクが高い方法であると思います。
(もちろん、頻度とオイルの使用量さえ間違えなければ、オイルアップのみでも素晴らしい一足になります。)
そこで私は、紳士靴に用いられる乳化性クリームも用いて、アイリッシュセッターを育てています。
乳化性クリームには、油分だけではなく水分とロウが含まれでおり、このロウが表面をコーティングすることで上品なツヤが出ます。
このロウ分を靴表面に置くことで、オイルを内部に残したまま、汚れが付きにくい状態になります。
手入れのサイクルとしては、
①半年に一回ブーツをクリーニングし、オイルアップ
②1~2ヶ月程普通に履き、汚れが目立ち始めたら乳化性クリームによる手入れ
③以後、乾燥するごとに②を繰り返し、半年以上経ったら①を行う
といった形で行っています。
ここからは実際に手入れの方法をご紹介していきたいと思います。
クリームを塗る前の準備
靴紐を解きほこりを落とす
まずは、シュータンや羽根の部分などを磨くために靴紐を解きます。
次に、ほこりなどの表面に付いたごみを払うためにブラッシングを行います。
この際に用いるブラシは、毛の柔らかい馬毛のものを用いて下さい。
硬い豚毛や化繊のブラシを用いるとごみを革表面に押し付けることになってしまい、傷などの原因になるので注意が必要です。
ブラッシングは、履いた後に毎回行うことをお勧めします。カビや汚れの付着を防ぎ、靴の変化に気づく機会になります。
今回はクリームを塗るので、シュータンやコバの部分など特に汚れが溜まりやすい部分を念入りにブラッシングします。
レッドウイング純正の馬毛ブラシは大きく、持ちやすいためおすすめです。
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クリーナーで汚れを落とす
次に古くなったオイルやクリーム、汚れをクリーナーで除去していきます。
クリーナーには洗浄力の強さや、対応する汚れの種類、同時に保湿が可能なものなど様々な種類があります。
一般的にはブーツ用のクリーナーの方が洗浄力は強く感じますが、今回は紳士靴用の定番N.モウブレィのステインリムーバーを使っていきます。
洗浄力もそこそこでありながら、染みなどの失敗になりにくいので初心者の方にもおすすめです。
(コスパも最強クラスです)
端切れ布を指に巻き、100玉1つ分だけクリーナを染み込ませ靴全体を拭いていきます。
この際強く拭きすぎると、革の表面が荒れたり色自体を落とすことになるので、軽く拭き取るイメージで行うのがポイントです。
一足にも満たない範囲を拭きましたが、汚れが落ちているのが分かります。
片足で2〜4回、布の使う場所を変えて、その都度クリーナーを付け直すことをお勧めします。
乳化性クリームによるワークブーツの手入れ
クリームを塗る
汚れを落とし切ったら、乳化性クリームを全体に塗っていきます。
次に乳化性クリームを靴に塗っていきます。乳化性クリームは、水分と油分の両方が含まれたクリームなので革を保湿つしつつ栄養を補給することが出来ます。
また、クリームには無色のものと色付きのものがありますが、経年変化を強く出したいワークブーツなどでは無色をおすすめします。
一方で、傷を隠したり色を濃くしたい場合は、色付きクリーム用いることで補色や着色をすることも可能です。
(黒色以外の靴に色付きのクリームを用いる際は、失敗を避けるためにも靴の色より薄い色を用いることを基本として下さい。)
今回はコロニルのシュプリーム1919の無色を使用しています。このクリームは浸透性が高く栄養補給ができる上に、程よい艶が出るので非常に重宝します。
私は指で直接クリームを塗る派ですが、ペネトレイトブラシというクリーム塗布用のブラシがあるので気になる方はそちらを使用して下さい。
また、大量にクリームを塗るとシミなどの原因となるので、慣れるまでは1回に塗る量を少なめにすることをオススメします。
クリームをなじませる
全体にクリームを塗ったら豚毛ブラシを使い、クリームを全体に馴染ませます。
クリームを全体に塗ったらブラッシングを行い、クリームを革内部へ浸透させていきます。
この作業で用いるブラシは、豚毛または化繊でできたコシのあるものを用いて下さい。
また、ブラッシングする際は少し力を入れ、クリームを靴内部へ押し込むようなイメージで行うといいと思います。
この過程で靴表面に自然なツヤが出てきます。
また、クリームを塗りすぎた場合やよりツヤを出したい場合には、使わなくなったタオルなどで乾拭きするとよりよいかと思います。
最後に
以上で完成です。表面に乳化性クリームのロウが引かれることで、オイルのベタ付きが緩和されています。
また、オイルアップを定期的に行っている場合は内部にオイルが残っているので、柔軟性や防水性はほとんど落ちていないかと思います。
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