【ウエストミンスター】バーバリーのトレンチコート【往年の名優に憧れて】

アウター

日本でオーセンティックなコートというとウールやカシミアコートよりもコットンコート、とりわけトレンチコートを思い浮かべる方が多いのではと思います。

名優ハンフリー・ボガードやアラン・ドロンをはじめとして、ハードボイルドな男性のアイコンとして根付いているのが大きいのでしょうか。

引用:https://www.pen-online.jp/news/fashion/aquascutum/1

 

私もそんな一人で、イギリス製のトレンチコートに対しての憧れが非常に強くありました。

そんな憧れを叶えたのが今回ご紹介する皆さんご存知バーバリーのトレンチコート、ウエストミンスターです。

バーバリーとギャバジンそしてトレンチコートの歴史

バーバリーの発展と防水素材ギャバジンについて

引用:https://jp.burberry.com

日本人には非常に馴染み深いブランドの1つであるバーバリーですが、その発展は耐水性に優れた綿生地である「ギャバジン」の発明をなくしてはあり得ませんでした。

ギャバジンは防水加工を施した綿糸を高密度に織り上げたもので、独特の光沢と高い防水性能を備えていました。

当時イギリスにおける防水生地としては、他にもオイルドクロスやゴム引きコットンなど優秀な素材がありましたが、それぞれ日常には使いにくい欠点を抱えていました。

ギャバジンは普通の綿織物と同様の扱いが出来ることから普及し、中でも極地探検家やパイロットなどの使用によってその知名度を高めていきました。

バーバリーとトレンチコート

ギャバジンの開発から数年後、第一次世界大戦が始まると、英国政府は過酷な塹壕に適した戦闘服の開発をバーバリーに依頼します。

そして、同時に依頼を受けたアクアスキュータムと共に開発したのがトレンチコートであり、今でも同社の代名詞となっています。

バーバリーとアクアスキュータムどちらがトレンチコートの元祖かというのは、今でも論争を呼んでいます。

トレンチコートを現在の形に仕上げたのはアクアスキュータムであり、その際は防水ウールが用いられていたという説もあります。

しかし、トレンチコートの原型となったタイロッケンコートは、バーバリーが発明したものであることは間違いないようです。

(タイロッケンコートは英国士官用のコートで、「タイロッケン」とは前を紐でロックするという意味だそうです。)

発展と衰退、グローバルブランドとしてのバーバリー

戦後になるとコートの裏に使われていたチェック柄をバーバリーチェックとして打ち出し、ブランドの価値を一気に高め、世界中で愛されるブランドへと成長していきます。

(日本にもこのころから丸善によりバーバリーのレインコートが輸入され始めます。)

 

引用:https://jp.burberry.com

その後はバーバリーチェックを様々な商品へと展開するようになり、チェックと言えばバーバリーというほどにまで浸透していきます。

そして、様々な国でのライセンス生産を行いますが、不良学生やフーリガンなどがバーバリーチェックを好んで買うようになり、ブランドイメージの失墜を招きます。

日本では三陽商会の元ライセンス生産が行われますが、こちらはクオリティも高くデパートでの展開ということもあり、比較的成功した例と言えるでしょう。

その後、バーバリーはライセンス生産などを辞め、2000年代に入るとコレクションラインを作るなどして高級ブランド路線に舵を切ります。

三陽商会とのライセンス契約は売り上げも好調であったこともあり、長くは続いたものの、ブランドの一本化に伴って解消されます。

そして、現在では世界中において、イギリスの本家バーバリーによる直営展開となっています。

直営化と現在のトレンチコートのラインナップについて

現在のバーバリーにおけるトレンチコートは、ヘリテージトレンチコートと呼ばれるラインに集約されています。

モデルとしては、スタンダードフィットのケンジントン、タイトフィットチェルシー、そしてクラシックフィットのウエストミンスターが展開されています。

ケンジントンとチェルシーにはミドル丈とロング丈の展開がありますが、ウエストミンスターは昔ながらのロング丈のみとなっています。

ハードボイルドなトレンチコート姿に憧れた私はウエストミンスターを選びましたが、ケンジントン辺りが現代においてはスタンダードだと思います。

私の所有するウエストミンスターはクリストファー・ベイリー氏がチーフデザイナーを務めていた頃のもので、現行のものと細部が異なる点がありますのでご注意下さい。


私の所有するウエストミンスターのご紹介

基本情報

表はコットン100%のギャバジン、ボタンは水牛の角、ベルトループは牛革製です。

このギャバジン生地はベージュ以外にも寒色系の糸が織り込まれているのか、光の当たり具合で玉虫色に光ります。

(正直布のコートでなんでこんな高いんだとか思ってましたが、これにやられました。笑)

ストームシールドやインパーテッド・プリーツも大きくしっかりと出ていて、クラシックな印象です。

また、襟裏はカーブに沿って縫い付けるのが非常に難しく、未だに熟練職人の手縫いで付けられているそうです。

 

細かいところですがガンフラップ

ベルトのDリング

など、近年のトレンチコートでは省かれがちな意匠もしっかりと盛り込まれています。

しかし唯一、貫通ポケットのみが採用されておらず、利便性的にも非常に残念です。

また、ライナーはカシミア×ウール製で上質なものですが、別売かつ非常に高価でした…。

ライナーの用ボタンはライナーの購入後、店舗に預けて本体に取り付ける形でした。

余談

正直なところ、このトレンチコートは正直身の丈に合わないほど高価なもので、購入する気はなかったのです。

しかし、有名な馬上の騎士のタグが廃止になり、ロイヤルワラントのタグに切り替わるということで相当無理をして購入しました。笑

今思えばロイヤルワラントコレクターとしては、新タグもアリだったなと思いますが、買う良いきっかけとなったのは間違いありません。

馬上の騎士について

1901年に最初のカタログを発行した際、公募により「名誉・高潔・勇気」を意味する甲冑の騎士 (Equestrian Knight) のマークをレーベルデザインとして使用開始。「Prorsum」(プローサム)の旗はラテン語で「前へ」を意味している。

引用;https://ja.m.wikipedia.org/wiki/バーバリー

サイズ感について

これは購入して3年になりますが、未だに悩み続けています。171cm65kg肩幅やや広めで、size46(UK36相当)を選んでいます。

ウエストミンスターがクラシックなシルエットであることもあり、ゆったり目なサイズ感になっています。

詳しくは、ジャケットの上からでジャスト〜ややゆったり、さらにライナーを付けるとジャストとといった感じです。

個人的には古い映画で見るようなサイズ感で、昔ながらのオーバーコートとしてはこれが正しい着方であるとも思っています。

参考までにですが、スタンダードフィットのケンジントンは同サイズで、ジャケットの上からでやや張り気味のジャスト、さらにライナーを付けると胸囲が苦しいといったサイズ感でした。

(こういったモダンなトレンチも欲しいです。)

一方で、私はスーツを仕事で着ることが少ないので、ほとんどジャケパン専用となっており、宝の持ち腐れ状態とも言えます。

濃いめのデニムに合わせるといい感じなので、ほとんどはカジュアル使いもしたいのですが色移りが怖すぎます…。

(他に合わせられるのがグレーのウールパンツしかないのも問題です。)

最後に

ロングのコートを着こなすのはやはり難しいですが、程よいやれ感を目指して着込んでいきたいです。

実際、使用感が出てきたくらいから着せられている感は減ってきたように感じます。

このまま10年後20年後には、自分も服もお互いに歩み寄って、いい風合いになっていることを期待します。笑

やはりこのチェックは格別です。

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