前回のバーウッドの投稿でも少し出ていましたが、今回はザ・カントリーブーツとも言えるトリッカーズのモールトンを紹介したいと思います。
トリッカーズと言えばこのモデル、カントリーブーツと言ってもこのモデルというくらい有名な靴ですね。
トリッカーズと二種類のカントリーブーツについて
トリッカーズと代名詞のカントリーブーツについて
トリッカーズは紳士靴の聖地ノーサンプトンのシューズメイカーです。
チャールズ皇太子の御用達でもあり、ロイヤルワラントを擁する由緒正しいメイカーでもあります。
実はルームシューズでのワラント授与だそうです。
一般的には先述の通りカントリーブーツが有名で、代名詞と言っても過言ではないと思います。
その意匠は非常に分厚いソールにストームウェルトと、まさに野山を駆け回るために作られた靴といった仕様です。
これらの仕様から、英国製フルブローグの靴であるのにもかかわらず、アメリカ製ワークブーツに通ずるようなラギッドな雰囲気を感じます。
Molton (モールトン)とStow(ストウ)2種類のカントリーブーツ
実は、トリッカーズの定番と呼べるカントリーブーツにはMolton (モールトン)とStow(ストウ)の2種類のモデルがあります。
これらはの違いはアッパーのみで、ラストやデザインはほとんど共通です。
古くから同社のカントリーブーツに用いられてきた、gorse calf leather(ゴースカーフレザー)という特殊な革を用いたモデルをモールトン、それら以外をストウとしているようです。
C-shade gorse(シーシェイドゴース)を採用するモールトン
引用;https://item.rakuten.co.jp/t-supply/tri2508-cshadegorse-leather/
中でもC-chade(シーシェイド) という定番のオレンジ色のゴースレザーは、カントリーブーツのイメージカラーとも言える色となっています。
これらゴースレザー革は通常のカーフレザーに特殊な塗装が施されており、耐水性と耐久性が高められています。
そしてそれらの機能性の代わりに、クリームなどの浸透性が低くなっています。
しかし、時間はかかりますが独特のエイジングが期待できるので、そこが長く愛されてきた定番の所以であると思います。
一方、ストウはゴースカーフレザー以外のモデルを指すので、英国製コードバンを用いたものなど様々な仕様があります。
特に定番と言えるのはマロンアンティークとエイコーンアンティーク呼ばれるカーフ素材の仕様で、共によいエイジングをすることで知られています。
上がマロンアンティーク、下がエイコンアンティークのモデル
引用;https://item.rakuten.co.jp/t-supply/c/0000000266/
また、これらカントリーブーツはアッパーの仕様だけではなく、ソールにおいても定番のダブルレザーソール、ダイナイトソールやコマンドソールなど多岐に渡っています。
さらには、サイズ表記もUK規格だけでなく、US規格のものも存在するので購入時には注意が必要です。
私の所有するカントリーブーツのご紹介
基本情報
Brand:Tricker’s
Model:Molton M2508(Country boots)
Size:UK7.5
Used:3years
私のカントリーブーツはシーシェイドアッパーのモールトンです。
マロンアンティークのエイジングも捨てがたかったのですが、カントリーブーツとしての本流かつトリッカーズ特有の革ということでシーシェイドを選びました。
シーシェイドゴースのエイジングについて
通常のカーフに比べても非常に分厚く、馴染んだ後もブヨブヨとした独特の風合いになります。
やはり塗料が強くクリームの色は入りにくいですが、着色力の強いクレム1919を用いることで、ある程度は着色することができます。
今回はトゥにダークブラウンを入れて、アンティークフィニッシュ風にしています。
しかし、よく見ると革表面に着色されているのではなく、細かい皺に色が入っているのがわかります。
このことから、屈職塗料が割れた隙間を埋めるような形で、クリームが浸透している可能性があります。(つまり革全体としてはクリームを弾いている部分が多い?)
勇気が出ず雨の日には履いたことはないのですが、このような特性の革なのでやはり防水性も信頼に値するものであるように感じます。
また、当時は雪国在住だったこともあり、雨雪に強いダイナイトソール仕様を選んでいます。
これらの仕様を選んだからには、もう少しヘビーデューティな使い方をしてよいエイジングを目指したいと思います。
写真では判別できませんね…。
サイズ感について
フィッティング5でUK7.5を選んでおり、幅がややきつめのジャストです。
フィッティング5はトリッカーズオリジナルの企画で、英国標準幅とのことなのでFに相当するのではないでしょうか。
履き始めは革も硬く馴染むまで非常に苦労しましたが、今となってはその硬さがホールド感に繋がっています。
また、ウェルトやソールも非常にゴツく重さがあり、この重さを使って振り子のよう足を振り出すことで快適な歩行が得られます。
番外編:シーシェイドとエイコンの厚みの違いを検証
シーシェイドは厚くて丈夫と言われているので、妻の所有するエイコンアンティークと厚みを比較してみました。
まずはエイコアンティークから…
それでは、シーシェイドはどうでしょうか…
それぞれ、
エイコンアンティーク…約2.5mm
シーシェイドゴース…約4mm
と約1.5mmの差がありました。
やはり、C-シェイドは分厚く耐久性重視の仕様となっているようですね。
ただし、エイコンの方も非常に硬く丈夫そうな革ではあるので、耐久性が低いということはないと思います。
また、今回はメンズとレディースモデル間での比較の上、個体差も考慮しておりませんので、その点はご容赦頂けたらと思います。
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