先日、セイコーアルピニストを購入した勢いで、かねてより興味のあった機械式時計も同時に購入してしまいました。
それは機械式時計が好きな方の多くが通る道であろうセイコー5のSNKL41J1です。
セイコー5についてはご存じの方も多いかと思いますが、やはり多くの人に愛されるだけのことがある非常に魅力的な一本でしたのでご紹介させて頂きたいと思います。
セイコーの機械式時計の普及ラインであるセイコー5の歴史と特徴について
セイコー5の誕生とその歴史について
昨年日本で再展開することでも話題になりましたが、セイコー5は1960年代より続く非常に息の長いブランドになります。
発売当初のセイコーマチックファイブ
引用;https://museum.seiko.co.jp/seiko_history/milestone/milestone_05/
その歴史は1963年に発売されたシンプルな自動巻きの三針、デイデイトの時計である「スポーツマチックファイブ」から始まりました。
このスポーツマチックファイブは大ヒットを記録し、その後セイコー5(セイコーファイブ)シリーズとして様々な派生モデルが誕生していきます。
特に1964年の東京オリンピックの公式時計の制作をセイコーが担ったこともあり、セイコー5の知名度および需要は海外でも非常に高くなっていきます。
しかし、1969年にクオーツ時計が誕生すると機械式時計そのものの需要が徐々に低下していき、セイコー5も国内での販売を停止することとなります。
一方で、電池の入手などが難しい途上国などでは安価な機械式時計の需要が根強かったため日本国外向けへの販売は続けられ、多くのバリエーションやモデルが誕生します。
そして、これらのセイコー5はそのコストパフォーマンスの高さやバリエーションの多さから、機械式時計の初心者からコレクターまで多くの人に愛されるようになります。
その人気は日本にも伝わり、セイコー5は逆輸入モデルとして日本へも入ってくることとなりました。
また、そのような事情から日本国内でもセイコー5(スポーツ)ラインは何度か復活を遂げてはいしたがここ数年はラインナップから外れているような状況でした。
そのような中で昨年2019年、再び日本国内で「セイコー5(スポーツ)」のラインが復活することとなりました。
この日本国内版のセイコー5は海外モデルとは全く異なるモデルであり、ムーブメントや仕上げ価格帯などで差異のあるものとなっています。
また、セイコー5のロゴも国内復活版では従来のものとは異なるものを採用しており、賛否両論を生んでいます。
セイコー5の持つ5の特徴について
セイコー5は安価で日常使いに適した機械式時計であり、それを達成するために以下の5の特徴を持つことからその名が付けられています。
1.切れないゼンマイ(ダイアフレックス)
2.耐震装置(ダイアショック)
3.自動巻き
4.防水機能
5.デイ・デイト表示
1.切れないゼンマイ(ダイアフレックス)
ゼンマイは機械式時計の動力源であり、これが劣化したり切れたりすることは時計の精度や動作に直結します。
そこで、セイコー5ではゼンマイにダイヤフレックスという特殊合金を用いることで、このリスクを最小限に抑えています。
2.耐震装置(ダイアショック)
機械式時計は精密な部品の集合体であり一般的には衝撃等に弱く、衝撃を受けた際には精度の悪化や最悪の場合は破損の可能性もあります。
セイコー5では日常使いが出来ることを念頭に開発されてるため、この衝撃による破損のリスクを抑えるためにダイヤショックと呼ばれる耐震装置を内蔵しています。
3.自動巻き
セイコー5が発売された当初は自動巻きの時計は部品点数が多く非常に高価なため、手巻き時計が主流でした。
セイコー5では1959年にセイコーが開発したマジックレバー方式という、部品点数が少なくシンプルな自動巻き機構を採用することでそのコストを抑えることに成功しています。
また、このマジックレバー方式は左右両方で巻き上げが可能であり、当時としては革新的で非常に巻き上げ効率の良い機構でした。
4.防水機能
セイコー5が開発された当時は防水機能が備わる時計は珍しく、水に濡れるような作業をする際は時計を外すことが当たり前でした。
セイコー5は若い世代に向けて開発されたこともあり、10気圧防水を備えており実用品としてより親しみやすい時計でした。
5.デイ・デイト表示
これが一番意外でしたが、当時は日付と曜日を一つの窓で表示することは一般的ではなかったそうです。
セイコー5ではこの日付と曜日を一つの窓で表示することで視認性を高め、すっきりとした外観を得ることに成功しています。
セイコー5を支える名機7S26について
現在のセイコー5には主に7S26というムーブメントが搭載されており、この7S26こそがセイコー5を象徴するムーブメントとも言えます。
この7S26は1996年に開発された自動巻きデイ・デイトのムーブメントであり、世界でも類を見ないほどの生産数を誇るムーブメントです。
その特徴は部品点数を減らすことにより、安価かつ頑丈であるという点を突き詰めている点であると思います。
また、そのために手巻き機能や、時間合わせ時の秒針停止機構(ハック機能)などの機能を排除しています。
しかし、上述のマジックレバー方式の採用により巻き上げ効率も高く、秒単位での精度を求めるのでなければ必要十分な性能があります。
それよりも特筆すべきはその頑丈さであり、この部品点数の少なさやダイアフレックス、ダイヤショックの採用により、10年以上メンテナンスがなくても問題なく稼働する個体も多いようです。
(本来はメンテナンスに出すのがよいとは思いますが、使い捨てや遊びの用途での使用が多いのだと思います。)
また、この7S系のムーブメントはこの信頼性の高さから、セイコーの中価格帯の時計で用いられる4R系や6R系の元にもなっており、現在のセイコーの技術の出発点的なムーブメントでもあります。
スペック的には6振動、精度は-20~+40秒が保証範囲であり、パワーリザーブは41時間となっています。
私の所有するセイコー5(SNKL41J1)のご紹介
基本情報
Brand:SEIKO5
Model:SNKL41J1
Caribre:7S26
シンプルな時計からダイバーズのようなスポーツ時計まで幅広いラインナップを誇るセイコー5ですが、今回は現行で最もシンプルでセイコーらしいモデルという観点でSNKL41J1を選びました。
ドルフィン針にバーインデックス、そしてシンプルなホワイトの文字盤といった仕様であり、グランドセイコーまで続くセイコーらしさを感じることのできるモデルかと思います。
このようなデザインであるためSNKL41J1は、プアマンズグランドセイコーやベイビーグランドセイコーと呼ばれる時計の一つでもあります。
また、このデザインは初代のセイコーファイブ(上述)とも通ずるところがあり、シンプルかつクラシックな印象を受けます。
裏蓋はスケルトンになっており、名機7S26を覗くことが出来ます。
サイズは37mmと小振りながらも上品なサイズ感であり、そのシンプルな外装と相まって「おじいちゃんの時計」感もあります。笑
ベルトはセイコー5ではお馴染みの板巻きブレスであり、安定感も悪く安っぽい印象です。
そのため、ベルト交換の練習も兼ねて自分で黒の革ベルトに交換して使用していました。
しかし、昔の時計のメタルバンドは板巻きのものも多く、これも一種の味かなと思い現在は元のベルトに戻して使用しています。
日本製と海外製のセイコー5について
余談ですが、セイコー5の多くのモデルは型番の末尾にK1もしくはJ1の文字が付き、J1は日本製、K1は海外製のモデルになります。
それぞれのモデルで仕上げ等をふくめて大きな差はありませんが、最近では日本製セイコー5の価格がやや上がり気味になっています。
恐らく、完全に日本製である日本版セイコー5が発売された影響かなと個人的には思っています。
最後に
今回購入したSNKL41J1が私自身の初セイコー5となりましたが、セイコー5は魅力的なものも多く1万円前後で購入できるということもありハマってしまいそうです。
多くの方が言われている通り、セイコー5は機械式時計の入門としても非常におすすめなので、興味のある方は一本購入しても後悔がない時計であると思います。
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