2回はコーンミルズ社のホワイトオーク工場が閉鎖し、遂にそのデニム生地が枯渇するということで、リーバイスヴィンテージクロージング(LVC)のジーンズを購入したのでご紹介したいと思います。
リーバイスはご存知でも、コーミルズ?ホワイトーク?という方も多いと思いますのでそれらについてもご紹介したいと思います。
リーバイ・ストラウス(Levi's®)のジーンズとコーンミルズのデニム生地について
ジーンズの王様リーバイスについて
引用;https://www.levi.jp/
リーバイスこと正式名称リーバイ・ストラウス社は、1853年にアメリカのサンフランシスコにて創業します。
創業当時は雑貨店と生地の卸売を生業としており、同時に労働者向けにワークパンツの製造を行っていました。
そのワークパンツは厚手のキャンバス地で作られていましたが、当時のテントに用いられていた綾織の生地を用いた所大きな反響を得ます。
この綾織の生地こそデニム生地の起源であり、後に虫除けや蛇除けの効果があるとされたインディゴ染めがなされるようになり現在の「デニム」生地が誕生します。
(現在ではインディゴに虫除けや蛇除けなどといった効果はないということが科学的に証明されています。)
このデニム生地を用いたワークパンツは、ポケットの補強のための「リベット留め」や「5ポケット」などの改良を加えられていき今日のジーンズの形へと進化していきます。
また、リーバイスといえば商標の代表ともいえる、パッチに記された「ダブルホース」です。
これは二頭の馬に引かれても破けないという同社のジーンズの丈夫さを表現したものであり、1900年代前後より使用され続けています。
この生地の丈夫さ、厚さに関する変遷も非常に興味深いのですが、長くなるので今回の記事では割愛させて頂きます。
コーンデニム(コーンミルズ)社と伝説のホワイトオーク工場について
引用;https://www.aiirodenim.com/white-oak-plant-close-5919/
コーンミルズ社は1891年に創業した生地メーカーであり、1905年より米国内でもいち早くデニム生地の製造を開始します。
このデニム生地を製造するために、ノースカロライナ州グリーンズボロに建てられたのがホワイトオーク工場です。
その後、コーンミルズ社はデニムメーカーとして飛躍を遂げ、リーバイスと共に全米に名を知られるようになります。
リーバイス社は当時他のメーカーの製造するデニムを使用していましたが、コーンミルズ社のデニムの品質に魅せられ、1915年にコーンミルズの生地を独占的に使用するという契約を結びます。
この契約はゴールドハンドシェイクと呼ばれ、コーンミルズ社はリーバイス専用の生地を製造することになります。
その後、半世紀以上に渡ってリーバイスとコーンミルズの関係は続き、ジーンズも労働着としてだけでなくファッションアイテムとしての市民権を得るようになります。
一方で、人件費などの問題からコーンミルズはメキシコと中国にデニム工場を設立し、生産の比重をホワイトオーク工場から移していくことになります。
このような流れの中でファッションの低価格化や日本のデニム生地メーカーの台頭などの影響を受け、コーンミルズ社は2000年代に一度倒産してしまいます。
しかし、コーンミルズ社は資金援助を受けオーナーが変わることで、コーンデニム社という名前で存続します。
その後、コーンデニム社は「コーンデニム」というブランドを押し出した販売戦略をとり経営を立て直していきます。
この中でもホワイトオーク工場のデニム生地は、高級なジーンズメーカーやリーバイスでも往年の名作モデルの復刻などに使用されることとなり、「ホワイトオーク」はブランドとなっていきます。
しかし、老朽化の進んでいたホワイトオーク工場は、2017年事業再編の一環で遂に廃業することが決定されます。
それにより、アメリカ製コーンデニム(ホワイトオーク工場製)によるデニム生地は生産されることがなくなり、各メーカーと市場にあるものが最後ということになりました。
リーバイスヴィンテージクロージング(Levi's Vintage Clothing)とその定番である501XX1947モデルについて
リーバスヴィンテージクロージングとは
リーバイスヴィンテージクロージング(以下、LVC)は本社にて保管されているアーカイブから、過去の製品を忠実に復刻するというコンセプトのブランドになります。
様々なこだわりがある上に復刻ということで生産効率が悪く、値段が高価な商品が多く事実上リーバイスの高級ラインにもあたります。
特にデニム生地に関しては本記事で語り切ることは出来ませんがヴィンテージジーンズ独特の色落ちを再現するため、様々なこだわりを持って製造されたものを使用しています。
さらにLVCでは復刻する年代ごとのジーンズのデニム生地を研究し、モデル毎に細かくデニムの原材料や生地の織り方、厚みなどを使い分けています。
この細かい要望に対応したのが前述のホワイトオーク工場であり、さらには旧式の織機用いて当時のままの木製床の上でデニム生地を織ることで当時のようなムラ感のある生地に仕上げていたようです。
つまりLVCは、本家リーバイスの展開する世界最高峰のヴィンテージレプリカブランドであり、「本物」の香りがするジーンズの筆頭であると思います。
LVCの定番501XXの1947モデルについて
ジーンズの王道である501の復刻モデルはLVCでも主軸として扱われており、製造年代毎に様々なモデルが復刻販売されています。
その中でも特に定番として扱われることの多いモデルが、今回ご紹介する501XXの1947モデルです。
(ここからは私の購入した501XXを用いて紹介させて頂きたいと思います。)
このモデルはそのまま1947年当時の501XXを再現したモデルであり、ジーンズがファッションアイテム変わった時代のデティールが強く反映されています。
フィッティングとしては当時としては細身のストレートレッグであり、何にでも合わせやすいややスリムな形になります。
ウエスト位置もナチュラルな腰の位置であり、まさに定番のジーンズといった出で立ちです。
また、デニム生地は14オンスのセルヴィッジ付きのものが用いられており、ツーホースパッチはレザー製(ギャラ有)になっています。
(ギャラ有⇒Guaranteed表記有の意味で、ヴィンテージの年代判別などで使われます。)
フラッシャー類も当時のものを再現しており、赤タブはヴィンテージの憧れの仕様でもある「ビッグE」です。
リーバイスの代名詞であるバックポケットのアーキュエイトスティッチももちろんあります。
現在これらのリーバイスの501®︎の伝統的な仕様は特許となっており、他のレプリカジーンズでは使用することはできなくなっています。
この他にもオリジナルのタグやリーバイスからオーナーへ向けた手紙?など、様々な工夫があり所有欲を満たしてくれます。
本格的な色落ちが期待できる上に本家501®︎のデティールを味わえるのは、ヴィンテージかこのLVC以外には存在しないので非常に大きな魅力といえると思います。
サイズ感とサイズ選びについて
私はこのジーンズをリーバイスの直営店である、リーバイスストア新宿店で購入しました。
LVCのジーンズはウエスト×レングスでサイズを選ぶことができるのですが、多くは防縮加工ないリジットデニム(未洗い)であり、ファーストウォッシュ(最初の洗濯)により非常に縮みます。
そのため、サイズ選びが難しくなるのですがこれこそがジーンズの本来の姿であり、この縮みによって着る人の体型にフィットするようになります(シュリンクトゥフィット)。
しかし、リーバスストアなどの一部直営店では各モデルの縮んだ後のモデルサンプルが置かれており、それを履くことでジャストサイズを選ぶことが出来ます。
目安にはなりますが、リーバイスのデニムは完全に縮むことで元のサイズからウエストは1インチ、レングスは2インチ縮むと言われています。
しかし、本モデルを含むLVCのジーンズはウエストは約2インチ縮むとのことで(リーバイス公式サイトより)、この点は注意が必要かと思います。
私自身も普段のジーンズが30インチのところ、本モデルは32インチのモデルサンプルでジャストサイズといった形でした。
レングスはスニーカーに合わせるならば32インチでジャストでしたが在庫切れであり、次ロットよりホワイトオーク製デニムでなくなるとのことだったので34インチを選んでいます。
(購入サイズはW32×L34になります。)
レングスはファーストウォッシュ後裾上げする必要があるかもしれませんが、在庫が乏しい中ウエストはジャストなものを購入することができました。
履き下ろしについて
本来であれば本記事にてファーストウォッシュから履き下ろしまでご紹介したいところですが、現在履いて育てているジーンズが3本もあるため今回はまだ保管する事にします。
今後履き下ろす際にはファーストウォッシュの方法も含めて、こちらのブログでご紹介させて頂きたいと思います。
もし、着用レビューなどをご期待されて辿り着いた方がいらっしゃいましたら、申し訳ございません!
最後に
色落ちを初めとしてジーンズというアイテムが大好きな私ではありましたが、リーバイスのジーンズは今回が久々の購入になりました。
やはりアメリカの香りのするアメリカらしい雰囲気のあるデティールで、早く履き下ろして育てたい気持ちで一杯です。
今後のLVCはヴィンテージレプリカに定評のある日本製のデニムを用いるそうで、その品質は今後も間違いないものになると思います。
一方で、アメリカで織られたデニム生地を用いて、アメリカで作られたジーンズが最後になるかもしれないという点は、特有の矜持が失われる気がして少し残念ではあります。
今後もこういったニュースは多くなっていく流れなので、出来るだけ後悔の無いよう、絶滅危惧種を確保し情報を共有していきたいと思います。
(皆様も「これがもう無くなる!」的な情報がありましたら、教えて頂けると非常に嬉しいです。笑)
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