靴の手入れが大好きな私ではありますが、最近靴ブラシの数が増えすぎてしまい管理が出来なくなるという問題に直面していました。
これは独身時代に私と妻それぞれで所有していたブラシが、混在してしまったことが最大の原因です。
(捨てる前に写真を撮り忘れてしまったのですが、馬毛ブラシと豚毛ブラシを合わせると20本以上ありました。笑)
中には大きく劣化したものもあり、このままだと靴を傷つけることに繋がりかねないため今回一新しました。
今回はせっかくの機会かつ妻との共同出資のため、所謂高級ブラシである「紗乃織刷子(さのはたブラシ)」をまとめ買いしました。
この紗乃織刷子は靴好き界隈で有名であった平野ブラシの後継&改良品として開発されたものであり、噂に違わぬ名品であったため今回ご紹介したいと思います。
日本製高級靴ブラシ「紗乃織刷子(さのはたブラシ)」とは
さのはたブラシはシューケアブランドのN.MOWBRAY(エムモゥブレイ)で有名なR&D社が展開する日本製高級靴ブラシであり、高級靴ブラシ定番であった平野ブラシの後継品にあたる製品になります。
前作にあたる平野ブラシと同様に紗乃織刷子では、ブラシの毛やその植え方はもちろん持ち手の素材やその形状にまでこだわって作られています。
まず、持ち手の部分は、上質なブナ材にオイルステイン仕上げを施しており、木目の美しい「本格的」な面構えとなっています。
また、持ち手の形状は縦に動きやすいように曲線を描いており、側面にはグリップ力を高めるために窪みが施されています。
そして、ブラシの心臓部である「毛」は職人に厳選された耐久性と弾力性に優れたものを採用しており、使用していくごとにクリーム等が馴染みブラシ自体が育っていくそうです。
毛の植え方は、持ち手の曲線に反して「直線揃え」と呼ばれる仕上げによって、毛足の長さが一直線になるよう整えられています。
これにより、靴への設置面積が一般的な靴ブラシに比べて広くなっており、ムラがなく「面」でブラッシングをすることが可能になっています。
しかし、毛の植え方そのものは機械植えであり、最高級ブラシである手植えブラシと比べると毛抜けなどの耐久性などでは劣る部分もあるかと思います。
(紗乃織刷子でも、仕上げ用の山羊毛ブラシは職人による手植えです。)
ただ、職人による手植えのブラシは2万円前後の価格帯のものが多く、個人的には趣味程度の靴磨きでは紗乃織刷子で不足を感じることもないかと思います。
今回購入した紗乃織刷子と使用用途および使用感について
購入したブラシの種類と使用用途について
今回購入したのは馬毛ブラシ2本と豚毛ブラシ2本(黒と白それぞれ1本ずつ)、そしてスエード・ヌバック用のブラシ1本になります。
(まず、そのままで売られていることの多い靴ブラシですが、高級ブラシだけあり紗乃織刷子はすべて箱入りです。)
使用用途としては以下の通りです。
①馬毛ブラシの一本は汚れ・ホコリ落とし用
②豚毛ブラシの黒は黒靴のクリームを馴染ませる用
③豚毛ブラシの白は茶系の靴のクリームを馴染ませる用
④もう一本の馬毛ブラシはコードバンの靴のクリームを馴染ませる用
(現在コードバンはバーガンディのみ所有のため色の使い分けはありません)
仕上げ用として、たてがみブラシの購入も考えましたが今回は予算オーバーのため見送りました。
しばらくはこれまで通り、ポリッシングコットンなどで仕上げていきます。
また、スエード・ヌバック用のブラシについては、スエードとヌバックの汚れ・ホコリ落としから仕上げまでの手入れ全般に使用していきます。
紗乃織刷子に共通した使用感について
まず、第一に持ち手の側面の窪みにより、非常に握りやすいことが挙げられます。
また、持ち手そのものが曲面を描いていることも、ブラシの長辺方向へのズレを防いでくれているように感じます。
この持ちやすさは本当に重要で、力を入れたい時に適切に力を伝えることが出来る上に繊細な動きも可能になり、細かい部分のブラッシングにおいても安定感が出ます。
そして、手が滑ってブラシを靴に落とすような心配がほとんどないことが、個人的にはなによりも嬉しい点です。
(中々ないことであると思われるかもしれませんが、私は不器用なためブラシを落として靴に傷を付けた前科があります…。)
紗乃織刷子(さのはたブラシ)馬毛の使用感
前述の通り、私は馬毛ブラシを汚れ落としやホコリ落とし用とコードバンのクリーム用の二つの用途に用いています。
この馬毛ブラシに関してですが、使用していく中でまず感じたのが毛自体に非常に弾力があることです。
ただ柔らかいだけでなく弾力性が高いことにより、軽い力でブラッシングをするだけで汚れやホコリを落とすことが出来ます。
また、ホコリ落とし用の馬毛ブラシでは効率のため毛足の長いものもありますが、このブラシではこの毛足でも十分に効率のよい作業が出来るように感じました。
この馬毛の特性はクリームを馴染ませる際にも非常に有効で、少ない力で簡単にクリームが伸びていくのが感じ取れます。
いずれにしても、ブラッシングに必要な力が普通のブラシよりも少なくて済むため、そして革への負担も少なく手入れをすることが出来るように感じます。
紗乃織刷子(さのはたブラシ)豚毛の使用感
クリームを馴染ませるために使用している豚毛のブラシですが、こちらでは馬毛に近いような柔らかさと弾力性の強さを感じる使用感となっています。
一般的な豚毛ブラシでは、たわしの毛のようにチクチクとして硬い毛のものもありますが、こちらのブラシでは馬毛ブラシのような柔らかさがありながら弾力性が非常に高いといった印象です。
そのため、クリームを伸ばす際に一般的な豚毛ブラシでは擦るようなイメージになるところ、こちらのブラシでは馬毛ブラシのような撫でるような感覚もあります。
しかしながら、弾力性の高さからクリームの伸びは非常によく、ブラッシングの一往復目からその違いに驚くほどでした。
また、この弾力性は革に対してクリームを浸透させる効果もあるように感じるため、長く使い続けた際の違いも気になるところです。
(しなった毛が戻る際にクリームを革表面に押し付けるイメージがあります。)
紗乃織刷子(さのはたブラシ)スエード・ヌバック用の使用感
このスエード・ヌバック用ブラシは真鍮製の毛の周りにナイロン製の毛が配されている構造になっており、スエードやヌバックの毛を効率よく起こすことが出来ます。
これまではスエードの手入れには、毛を起こし汚れやホコリを落とすゴム製のクレープブラシと、毛並みを整えるための真鍮製のブラシの二種類を使用していました。
しかし、この紗乃織刷子スエード・ヌバック用では、これら二種類のブラシの役割を一本でこなすことが出来ます。
また、このブラシにも非常に柔らかく弾力性の高い毛が使われており、軽い力でスエードの毛足が解れていきます。
さらには、このブラシは他の馬毛や豚毛のブラシと比較すると小さく作られており、小回りの利くサイズ感となっています。
(馬毛&豚毛ブラシが18cmなのに対し、スエード・ヌバック用ブラシは11.8cm)
これにより、細かい部位へのブラッシングや、毛の当て方の調整(ナイロンの毛だけを靴に当てるなど)をしやすくなっています。
最後に
高級靴ブラシというものについてあまりイメージがつかなかったのですが、実際に使ってみることで痒いところに手の届く気配りを感じるすばらしいものであると感じます。
また、こういったブラシは単に使いやすいだけではなく、ブラッシングに余分な力が必要なくなるなど大切な靴を労わることにも繋がると思います。
さらには、ブラシ自体も使用していく中でより良く成長をしていくということなので、末永く付き合っていける点も魅力かと思います。
たかがブラシではありますが、その価値十分に感じることが出来るので、非常におすすめな逸品です。
コメント